子供生まれたら、将来のことを考え学資保険に加入することを検討するでしょう。
そこで気になるのは、後で戻ってくるお金のこと。いわゆる返戻率の高さですね。
では、その返戻率は一体どのようなものでどのような仕組みになっているのでしょうか。
また、高い返戻率にするためのポイントはあるのでしょうか?
そこで今回は学資保険を選ぶためのポイントや返戻率についてお話していきます。
目次
学資保険の返戻率とは
選び方のポイントを解説する前に、まずは返戻率について理解をしておきましょう。
返戻率とは、支払った保険料に対して受け取る満期保険金やお祝金の割合を表したものです。
つまり、返戻率が高いほど支払った保険料よりも受け取る金額が多くなるということになります。
返戻率の計算方法
「返戻率=(満期保険金+お祝金)÷支払った保険料」
例えば、支払った保険料が100万円の場合を返戻率の違いでみていきますと
・保険料100万円×返戻率90%=受け取り総額90万円
・保険料100万円×返戻率110%=受け取り総額110万円
このように、返戻率が100%未満になると支払った保険料よりも受取金額が減ってしまいますが、返戻率が100%を超えることで支払った保険料よりも受取金額が増えるのです。
つまり、返戻率が高いほど貯蓄性が高くなるということが言えますね。学資保険は将来かかる学費などの資金を貯めるために加入するのが目的ですので、返戻率の高さは重要になります。
学資保険を選ぶための4つのポイント
学資保険を選ぶためには4つのポイントが大事になってきます。
- お祝金の有無による返戻率の違いを確認する
- 保険料の払込期間による返戻率の違いを確認する
- 複数社で検討する場合はできるだけ同条件で比較をする
- 学資保険に求めるものは保障か貯蓄かを考える
ポイント1.お祝金を受け取るか受け取らないで返戻率が変わる
学資保険では、進学のタイミングでお祝金が出るタイプのものが多くなっています。
確かに、お祝金は進学時にかかるお金をカバーできるので、ありがたいものですね。
しかし、最終的な返戻率を考えると、お祝金は受け取らないで据え置いておいた方が返戻率は上がるのです。
学資保険の中にはお祝金をはじめから付けないタイプのものもありますが、その分返戻率は高くなりますので貯蓄性はグッと上がります。
お祝金を受け取る場合と受け取らない場合の返戻率の違い
では、実際にどれくらい返戻率が変わってくるのか、日本生命の学資保険を例にして、その違いを見ていきましょう。
<例1> 契約者30歳男性、被保険者0歳、18歳満期、基準保険金額100万円で設定した場合
|
保険料/月払 |
総受取額 |
返戻率 |
お祝金あり型 |
16,300円 |
360万円 |
104.0% |
お祝金なし型 |
13,350円 |
300万円 |
102.2% |
※上記データは、日本生命(相)平成30年3月時点のシミュレーションを参考にしています。
・お祝金は基準保険金額の20%(小学校・中学校・高校入学時)
・基準保険金額は大学入学時の受取り
・学資年金の受け取りは、基準保険金額を受取後1年ごとに4回、基準保険金額の50%
上記の<例1>を見てみますと、基準保険金額を100万円とした場合、お祝金なし型では総受取額が300万円ですが、お祝金あり型の場合は総受取額が360万円となります。
保険料については、お祝金の分がありますので「お祝金あり型」の方が多くなっていますね。しかし、注目するのはその返戻率です。
「お祝金あり型」の場合が104.0%に対して、「お祝金なし型」の場合は102.2%となり、お祝金を受け取らないタイプの方が貯蓄性は高いことが分かります。
効率的にお金を貯めるならお祝金は受け取らないという選択をする
もちろん、お祝金を受け取るという選択も良いでしょう。
しかし、本当にお金のかかる大学進学に向けて貯蓄をしていきたいと考えるのであれば、お祝金を受け取らないで据え置くか、はじめからお祝金のないタイプの学資保険を選択することで、効率的にお金を貯めていくことが可能です。
ポイント2.保険料の支払い方法でも返戻率が変わる
保険料の支払方法でも返戻率が大きく変わります。
例えば、18歳満期の学資保険に加入した場合、月払いや年払いなどで保険料を支払っていく方が圧倒的に多いと思います。
しかし、18年間払い続けるのではなく、支払い期間を5年や10年の短期払いにすることで返戻率はグッと高くなります。
保険会社では、支払われた保険料を増やすために運用を行っています。
つまり、支払期間が短ければ支払う保険料は大きくなってしまいますが、その支払われた保険料を運用して増やしていきますので、最終的には18年間かけて支払うよりも短期間で支払いを済ませてしまった方が、返戻率が高くなるというわけです。
保険料の支払い期間による返戻率の違いを見てみよう
では、払込期間によって、どれくらい返戻率が高くなるのか見ていきましょう。
<例2> 契約者30歳男性、被保険者0歳、18歳満期、基準保険金額100万円、お祝金なし型(参考:ニッセイ学資保険シミュレーション)
払込期間 |
保険料/月払 |
保険料総額 |
総受取額 |
返戻率 |
18年間全期払い |
13,350円 |
288万5,920円 |
300万円 |
104.0% |
10年間短期払 |
23,320円 |
279万8,400円 |
300万円 |
107.2% |
5年間短期払 |
46,060円 |
276万3,600円 |
300万円 |
108。5% |
※上記データは、日本生命(相)平成30年3月時点のシミュレーションを参考にしています。
上記の<例2>を見てみますと、基準保険金額を100万円とした場合、総受取額はどれも300万円ですが、払込期間が短いほど毎月の保険料は高くなります。
しかし、保険料の支払総額は18年間全期払いと5年間短期払いを比べると、122,320円もの差が出てきますね。
そして返戻率も、全期払いが104.0%なのに対し、10年間短期払いは107.2%、5年短期払いになると108.5%です。
この返戻率の差はかなり大きいですね。このように払込期間が短いほど貯蓄性が高いことが分かります。
学資保険の短期払い
子供は中学生、高校生と成長するごとに、部活の費用であったり、塾の費用であったりとかかるお金は大きくなりますね。
短期払いの考え方としては、お金のかからない幼少期のうちに保険料を払い終えてしまうことで、お金のかかる時期には保険料の負担がなくなります。
更に学資保険に支払った保険料に対して返戻率が高くなるので、効率的にお金を増やすことができるというわけです。
もし、余裕があるのであれば、学資保険は短期払いで加入するとお得になります。
ポイント3.学資保険の返戻率はできるだけ同じ条件で比較すること
学資保険はたくさんの保険会社で取り扱っており、表記されている返戻率もさまざまですね。
しかし、条件があまりに違うと、返戻率の比較がしにくくなってしまいます。学資保険の返戻率はできるだけ同じ条件で比較することが大切です。
例えば、お祝金を受け取らない、そして10年の短期払いという選択をした場合には、この条件で返戻率を比較しましょう。
しかし、パンフレットなどではわかりにくいかもしれません。このような場合は、気になる学資保険の保険会社に具体的な見積もりを取ってもらうのがベストです。
ただし、保険会社によって商品の特徴が異なりますので、全く同じ条件での比較は難しい場合もあります。
この場合は、希望を伝えて似たような条件をもとに比較するようにしましょう。また、無料の保険相談サービスなどを上手に利用することも可能。
もちろん、保険会社ごとに受け取り方などの違いや満期の年齢の違いがありますので、いつどれくらいのお金を準備したいのかというように具体的な金額を決めておくと、どの学資保険にするのか検討しやすくなるでしょう。
また、各社のホームページではシミュレーションができるようになっていますが、きちんとした金額や返戻率を確認したい場合は各保険会社で直接見積もりを取るのが良いでしょう。
ポイント4.保障を重視するのか、貯蓄性を重視するのか
ここまで、学資保険の返戻率についてみてきました。貯蓄性を重視するのであれば、やはり返戻率は高い方がお得になります。
しかし、返戻率が低い学資保険が悪いというわけではありません。それには理由があります。
返戻率の低い学資保険には、保障が兼ね備えられている場合が多いのです。詳しくみていきましょう。
育英保険など保障も兼ね備えた学資保険
学資保険は基本的に契約者が万一死亡してしまった場合に、その後の保険料は支払いが免除になるようになっています。
しかし学資保険の中でも返戻率が低いものには、更に保障が兼ね備えられていることが多くあります。
例えば、育英年金です。育英年金とは、契約者が万一死亡してしまった場合、保険料免除のほかに学資保険の保険金とは別で、年間まとまったお金を受け取れるという保障のことです。
子供を育てるのにはお金がかかりますが、育英年金がついていることで、毎年ある程度のお金が受け取れるのは安心感も高くなりますね。
また、対象の子供に対する医療保障を付けることができるものもあります。入院や手術などの時に、安い保険料で保障を付けることができるので、学資保険にプラスする方も多いでしょう。
しかし、こうした育英年金や子供の医療保障などをつけると保障に対する保険料がかかりますので、どうしても保険料が高くなり返戻率が下がってしまいます。
学資保険に求めることを見極めよう
学資保険に何を求めるのかは、家庭によって異なります。
もし、契約者が万一の時でも十分な保障を準備しているというのであれば、学資保険は貯蓄性を重視して返戻率の高いものを選ぶと良いでしょう。
しかし、学資保険にも契約者の保障や対象である子供の保障もつけたいと考えるのであれば、返戻率が多少低くても保障を兼ね備えたものを選択しましょう。
何が必要なのかをしっかりと見極めて、学資保険を選択することが大切です。
まとめ
学資保険の返戻率は、お祝金の受け取りや保険料の支払期間によって大きく差が出てきます。
できるだけお得に貯蓄重視で学資保険を考えるのであれば、お祝金を受け取らない、そして短期払いを検討してみてください。
複数社の学資保険を比較するときには、できるだけ同じ条件での返戻率を確認することが大切です。
各社のホームページにあるシミュレーションを活用するのも良いですね。
しかし、正確な金額を知りたい場合には、保険会社に見積もりを取って比較することがおすすめです。また、学資保険は何を求めるかによっても、選択が異なります。
保障を重視するのか、貯蓄を重視するのか、家庭の状況をしっかりと見極めて、返戻率に惑わされることなく必要な物を選ぶようにしてくださいね。
そのためにも、学資保険の準備は早めに行い、決断を急ぐことなくじっくりと検討をするようにしましょう。