空き地・空き家を活用しよう!トランクルーム経営のメリットとデメリット

法人が商品の保管などで利用していた「貸倉庫」を、個人ユーザー向けに小口化して収納スペースとして貸し出すのがトランクルームです。

捨てられない家具や衣類、趣味のコレクション、シーズンにしか使わないスポーツ用品やレジャーグッズなど、物置やクローゼット代わりに多くの人が利用しています。

オフィスが多いエリアでは、保管義務のある書類や備品の保管庫として法人の利用も多くあります。

今回は、空き地・空き店舗・空きオフィスの活用法としても注目を集めるトランクルーム経営について解説します。

1.トランクルームの種類

トランクルームといっても使う人のニーズに合わせて様々なタイプがあります。

郊外などでは輸送用のコンテナを2段程度積み上げたタイプ、市街地ではオフィスビルのフロアやテナントなどを改修して営業しています。

屋内型トランクルーム

ビルの室内を大小のスペースに区割りしたり、ロッカーを設置したりして収納庫としてレンタルしているタイプです。

0.5畳~4畳程度など、何種類かの広さを取り揃えているのが一般低です。その中でも、収納庫の鍵だけでなく、防犯カメラの設置や建物の入口も利用者しか入れなくなっているものも多く、セキュリティの高い屋内型トランクルームも増えてきているようです。

屋内のため、空調などの設備が整っているケースも多く、温度や湿度の変化に弱いものでも収納できます。

市街地に多いため賃料は高めで、車を横付けできないケースもあるので、家具などの大型な荷物の収納はできない場合もあります。

ミニボックス型トランクルーム

基本的に屋内型トランクルームと同じですが、段ボール1箱~クローゼット1個分程度までの中~小型のスペースをお手頃な料金で利用できるようにしたタイプです。

CDや文庫本、書類などの小さな荷物のほか、会社の近くで私物を保管するなどのニーズがあります。シェアオフィスなどと併設される場合もあります。

コンテナ型

郊外などにコンテナを設置し、倉庫として利用するタイプです。

8畳以上ある大型のコンテナをそのまま貸し出している場合や、2~4畳程度に分割して貸している場合もあります。

駐車スペースがありコンテナに横付けできる場所が多いので、大型の家財でも保管ができます。

大きさの割に料金的はリーズナブルですが、屋外のため温度や湿度の調整はできませんので荷物によっては注意が必要です。

専用タイプ

耐震耐火構造や太陽光遮断などを備えた美術品保管専用のものや、現金や有価証券、貴重品などの保管、バイク専用のコンテナ型、ワイン専用や女性専用などの特化型のスペースがあります。

またトランクルームは、倉庫業の登録を行った倉庫事業者が運営しているものと、倉庫業者以外(専門業者や不動産業者など)が運営しているものと経営の主体によっても分類できます。
ですが、トランクルームの事業を行う場合も倉庫業者としての登録が必要です。

「レンタル収納スペース」は荷物の管理は利用者になりますが、低価格を追求したシンプルなスペース貸しもあれば、補償やセキュリティも充実した「トランクルーム」以上のサービスを実施する業者もあり様々なバリエーションがあります。

比較的新しいビジネスで利用者も伸びている市場ですが、居住用住宅とは異なる法律での規制がありますので入念な準備が必要です。

2.トランクルームと法律

トランクルームに関連する法律には、倉庫業法、建築基準法と都市計画法があります。

倉庫業として始める場合は国土交通省への登録が必要になりますが、運輸局などへの事前相談に始まり、厳格な施設設備基準や倉庫管理主任者の専任などが必要になります。

倉庫事業者としてではなくトランクルームを始める場合でも、保管施設の設置には建築基準法と都市計画法への適合が必要になります。

コンテナ型やプレハブなど仮設に近い建築物でも、建築には建築確認申請が必要です。

また居住用の住宅やアパート、マンションのトランクルームへの転用は建物の強度上難しい場合が多く、条件に合った更地や事業用のビル、店舗などの空きを利用するケースが多くなります。

土地の利用方法を定めた都市計画法では、トランクルームや倉庫が設置できる地域が決められています。

準居住地域、近隣商業・商業地域、準工業・工業地域、工業専用地域では設置できますが、住居専用地域では原則として設置ができません。

市街化を抑制している市街化調整区域でも同様にトランクルームの建設、設置はできません。所有する不動産でトランクルーム経営を考える場合、まずは物件が法律に適合できるかどうかを確認することが大切です。

3.トランクルームの設備

屋内型トランクルームでは空きオフィスや空き店舗、空きテナントだけでなくビル1棟ごと転用するケースなどがあります。

既存の建物を転用する場合は、建物自体の強度確認、防火面など法規適合するための設備を準備するなど、建築基準法に準じた設備管理が必要になります。

収納スペースは専用のパーティションで区切るタイプや、物置(ロッカー)を設置するタイプなど、業者によっていくつかの種類があります。

パーティション型は自由に区画が分けることができ、狭いスペースなどでも活用できるので、収納スペースが効率よく配置でき収益面さにメリットがありそうですね。

ただし、通路や共有スペースなどはフロアタイルや壁紙など内装が必要になるのと、防火上収納スペースの天井がメッシュになるケースもあるようなので、荷物にほこりが溜まりやすいかもしれません。

物置型では、規格サイズの物置やロッカーを室内に設置するタイプもあるようです。運び入れて設置し、内装などの工事は最小限になりますので初期の設備コストが安く抑えられるものもあるようです。

その場合、サイズが決まっている規格品ですので、設置場所の形状や広さによっては効率よく設置できない場合もあり、貸出スペースが十分に確保できない場合もあるようです。

更地でトランクルームを始める場合は、屋内型トランクルーム用に新築の建物を建設するか、コンテナ型などの屋外型の専用設備を準備することになります。

トランクルーム専用の建物を建設すると投資コストが高くなるため、レンタルオフィスやアパートなどほかの用途の建物と併設する運営者もいるようです。

トランクルーム単独で運営する場合は、初期コストを抑えるためにコンテナ型の収納庫を設置するのが一般的です。

貸すために使用するものは、輸送用のコンテナや、コンテナ形状をしたプレハブ、ユニットハウスといったものがあります。

利用者に対するサービス向上につながる付帯設備としては、照明や案内看板、利用者が荷物を搬出入する台車、駐車場などがあります。

監視カメラや機械警備などは防犯面からもあるとよいでしょう。屋内型では建物や収納エリア入口のセキュリティゲートや、24時間空調、除湿器、換気設備なども利用者へのセールスポイントになります。

4.トランクルーム経営のパターン

トランクルームを経営するには、トランクルームのチェーン展開を行っている業者と契約する方法と、自分で経営する方法があります。

トランクルーム業者との契約の多くは一括借上方式か業務委託になります。

一括借上方式

土地の提供はオーナーが行い、建物やコンテナ施設の建設をトランクルーム業者が行なった後で一括して借上げます。

集客、契約管理、利用者対応(賃料回収、クレーム対応など)や建物の維持管理などは全て業者が行いますので、オーナーは経営を行わずにすみます。

設備の手配や設置も借上げる業者が手配しますので、準備段階でも心配は不要です。業者とは建物賃貸借契約を締結し、オーナーには毎月業者から賃料が支払われます。

売上に関係なく一定の賃料が支払われる固定報酬型が多いですが、売上連動型などの契約プランを準備する業者もあります。

契約内容はほかにもバリエーションがあり、建物やコンテナ設備をオーナーが準備するリースバック方式や、加盟料の有無、ランニングコスト(メンテナンス費用、電気料金、火災保険料など)の負担なども業者やプランによって異なります。

集客力もあり空室リスクも少ないので長期間安定した収入になりますが、業者から支払われる賃料は低めです。

そのかわりオーナーは手間無く運用できますので、複数の不動産で運営する場合や副業などに向いています。

業務委託方式

土地の提供、建物やコンテナ施設の建設などの初期投資はオーナーが行い、経営も基本的にオーナーが行います。

業者の方がノウハウのある集客や、手間のかかる契約管理、利用者対応などは業者に業務委託します。

契約によっては経営のアドバイスなども受けられます。オーナーは業者に委託料やロイヤリティとして費用を支払います。

稼働状況が良ければオーナーの利益も上がりますが、空室リスクはオーナーが負うことになります。

業者のプランや委託する業務の範囲などにより費用は異なりますが、一括借上方式よりは収益は得られます。

また自分で運営するよりもリスクは抑えられますが、最終的な経営責任はオーナーになります。

自分で経営する場合は、コンテナの調達や設置、建築確認申請などの開業準備や運営管理業務などすべてを自分で行います。

面倒で手間がかかり、経営のリスクはすべてオーナーが負いますが、収入はすべてオーナーのものですので収益性は最も高くなります。

トランクルームは伸びている事業で比較的運営も楽ですが、それなりの経営ノウハウは必要になります。

開業後運営などで困っても、トランクルーム単体で管理を引き受けてくれる会社はありませんので、事業撤退か設備ごと売却することになります。

業務委託形式でビジネスを始めノウハウを吸収したのちに自主運営に切り替えるか、初期投資もコンテナなどをリース契約にするなどのリスクヘッジは考えておいた方が良いでしょう。

ほかにも自社で用地募集をしているトランクルーム業者もあります。経営とは少し異なりますが、トランクルーム業者に事業用定期借地契約で土地や建物を貸す、または売却するなども一つの選択肢になります。

5.業者を選ぶ際のポイント

トランクルームは新しいビジネスという事もあり倉庫業者だけでなく、異業種からも多く参入しています。

プランやビジネススキームも様々ですが、業者を選ぶ際に抑えておくべきポイントを説明します。

法律を遵守した施設で運営されているか

さまざまな業者が参入しているトランクルーム業界ですが、中には非常にずさんな建築をしている業者が存在しています。

特に多いのがコンテナ型で、建築基準法の基準を満たさず建築確認申請も提出しない業者もあります。

行政も取り締まりを強化していますので建築基準法や都市計画法を満たした建築確認申請を提出するかを確認することが必要です。

既存のトランクルームの稼働率は良いか

トランクルーム経営は、稼働率が重要になります。業者が運営している既存のトランクルームの稼働率は確認しておきましょう。

近隣にマンションや住宅が多いようならファミリー向けの大型の収納スペースが向いてますし、オフィスや事務所が多いようであれば伝票や備品保管に向いた中小型の収納ニーズが高くなります。

業者は周辺の居住状況やニーズ、競合状況を調査し最適なプランを提案してくれるはずですが、ニーズを無視し業者にとって都合の良い設備や、不要なサービスなどを押し付けてくるケースもあります

無理な勧誘や拡大を進めている業者のトランクルームの稼働率は低いことが多いので注意しましょう。

また業者の提供するサービスや設備が他の業者と比較して劣っている場合も、稼働率はよくありません。

業者も様々なタイプのトランクルームを提案しているので、稼働率については所有する土地や建物の条件となるべく同じ条件の場所の稼働率で確認した方が良いでしょう。

既存のトランクルームを実際に確認してみる

運営を業者に任せる場合は、実際に運営されているトランクルームを見学し、きちんと運営されているかを確認してみることも大切です。

毎月運営委託費を払っているにもかかわらず、コストのかかる現地の管理業務で手を抜く業者もいます。

施設の管理状態は稼働率へも影響しますし、不法投棄や治安面などで何かあれば、トラブル対策や修繕、処分費用の支払いなどはオーナーが負担することになります。

運営をしっかりやってこそ収益にもつながりますので、書類での説明や利回りなどの条件面だけでなく、その業者が運営しているトランクルームは必ず確認するようにしましょう。

6.トランクルーム経営のメリット

トランクルーム経営はアパート、マンションなど人が住む住居系の経営とは違ったメリットが多くあります。

初期投資、ランニングコストが低い

トランクルームは収納スペースですので、人が住むために必要な風呂やトイレ、洗面台などの水回りが無いので初期投資が低く抑えられます。

古くなって新しい設備へ入れ替える必要もないので、修繕費用の積み立てなども不要です。ガス台や電気コンロ等もないので居住者の不注意による火災リスクも少なくなります。

アパートやマンションの場合は、居住者の入退去の際に壁紙の張替、フローリングの修理やクリーニングなどが必要ですが、トランクルームでは収納スペースを簡単に掃除するだけです。

リフォームやクリーニングのための費用や時間も必要ないので、空室後すぐに貸し出す事ができます。

設備が多少古くなっても収納スペースとしての機能に問題はありませんので、賃料も維持する事ができます。

また収納スペースの貸し出しは借地借家法の適用外ですので、利用者との契約面や権利関係の複雑さがありません。

住居系の賃貸借契約とは異なり、トランクルーム経営から撤退し別の用途に不動産を転用する場合も、立ち退きなどのトラブルも無くオーナー側から利用者に解約の通知をする事ができます。

利回りが高い

初期投資額が低く、ランニングコストも低いため利回りは非常に高くなります。

アパートやマンション経営の利回りは5~10%程度で、投資回収も10~20年ほどかかりますが、トランクルーム経営の利回りは低くても10%で、平均25%程度といわれています。

ケースにもよりますが、投資回収も早ければ1~2年、長くても5年程度で回収可能です。

物件の条件が悪くても問題が少ない

トランクルームとしての利便性を考慮すれば立地は重要になりますが、土地の形や大きさ、日当たりなどは住居用ほど問題になりません。

建物の場合も雨漏りや破損などは修復が必要ですが、収納スペースとして問題が無ければ築年数が多くても転用は可能です。

需要が伸びている市場

トランクルーム(レンタル収納、コンテナ収納など含む)の市場規模は2015年で603億円とされ、ここ数年年率6~8%で伸長しています。

トランクルームの認知度も上昇しており、今後も市場規模は拡大していくと予想されています。

現在の全国にあるトランクルーム数は約43.8万室で130世帯につき1室しかない状況で、稼働率も高いことからトランクルームの供給も不足気味になっています。

少子化で賃貸住宅の供給過剰が問題になっていますが、トランクルーム市場はまだ過当競争になっておらず、少ない初期投資もあって新規に始める人も増えています。

7.トランクルーム経営のデメリット

トランクルーム経営はいいところばかりでなく、デメリットもいくつかあります。

室数が多いため管理が煩雑

一室当たりの単価が大きいアパート、マンション経営と比較して、トランクルームは屋内型なら月額数千円~2万円程度、屋外のコンテナでも1基当たり月額2万~5万円が相場です。

単価は小さいですが収納スペースを数多く設置することで収益を上げるため、20~50といった室数を管理する必要があります。

月数千円の契約でも、契約、家賃回収や利用者の情報管理などの手間は変わりませんし、室数が多いことによって利用の開始、終了などの手続きも多くなり管理は煩雑です。

集客が難しい

トランクルームはネットの不動産ポータルサイトでの集客はできないので、トランクルーム業者のサイトや専用の検索サイトへの登録、自社ホームページを持つ必要があります。

利用者の多くは自宅になるべく近い収納スペースを探しますので、チラシ集客や看板集客も有効ですが、トランクルーム近隣の居住人口が少ない場合はエリアを広げて宣伝を行う必要があります。

屋外のコンテナ型は、看板やコンテナ施設だけでも目立ちますので認知されやすいのですが、屋内型のトランクルームは目立ちにくいので工夫が必要です。

満室になるまでの時間が長い

都市部以外ではトランクルームの知名度はまだまだです。トランクルームを設置しても、利用者に認知され借りるという行動までには時間がかかります。

そのため、開業からチラシやホームページで募集を開始してから契約、満室までには1年くらいはかかるケースも多くあります。

税制での優遇は無い

コンテナ型の場合は、住居用の戸建てが建っている場合は、土地の評価額を75~80%下げることができますが、トランクルームは居住用ではないため控除は受けられません。

土地の評価が高いエリアでは税金を考慮しておかないと、収益に影響します。一括借上など業者との契約にもよりますが、相続税の面でも優遇は受けられない場合が多いです。

運用上のトラブルもある

人が住んでいないのでトラブルは少ないですが、まったく無いわけではありません。賃料が低額なこともあり、居住用ほどの頻度ではありませんが滞納は発生します。

督促や回収できなかったときの手続き、置き去りにされた荷物の処分など手間も時間もかかります。

トラブルの回避には契約時に保証人を付ける、滞納した際の延滞金、連絡が取れなくなった場合の荷物の処分など契約書で取り決めておいた方が無難です。

なかにはトランクルームを借り不用品をいれたまま行方をくらます悪質なケースもあるので、注意が必要です。

利用者からは、「カビが生えた」「ひび割れた」など収納した荷物に対するクレームがほとんどです。

屋外型のコンテナなどは換気や温湿度管理ができませんので、契約時に利用者に十分に説明し理解してもらうことが必要です。

トランクルーム設置による治安の悪化、利用者が深夜に自動車エンジンをかけたまま荷物の搬出入を行うことによる騒音、ゴミの不法投棄などが起こり、利用者だけでなく近隣からクレームが来ることもあります。

周辺環境への配慮や、設置場所の環境維持もトラブル回避には必要です。

8.まとめ

トランクルーム経営は、高利回りで成長性も高い事業です。全く活用していない遊休地にしておくぐらいなら、低コストで手間もかからないトランクルーム経営は一つの選択肢になります。

ただしトランクルームは新しいビジネスのため認知度も低く、費用を払ってまで収納スペースを必要とするニーズがどこまで伸びるかは未知数です。

また様々なタイプのトランクルームや経営方法があるので、所有する土地や建物と、その周辺のニーズに合わせた方法でないと利用者が決まらず高い税金だけを支払う事にもなりかねません。

都市部では供給過多になっているエリアもあるので、周辺の競合状況にも左右されます。

アパート・マンション経営からすればリスクも低いのが魅力ですが、さらにリスクの低い駐車場やコインパーキングなどもありますし、土地の特性や条件と合わせていろいろと検討してみた上で判断しましょう。

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