「マンションを買ったけれど、やっぱり一戸建てにすればよかった。」
「子供が成長して自分の部屋を欲しがって…」
「会社の事務所が移転して、通勤に時間がかかるようになってしまった。」
将来設計して購入したマイホームでも、10年も住んでいると、周りの環境や自分のライフスタイルの変化で住んでいる家がマッチしなくなることも多いですよね。
老朽化や手狭になった以外でも、親との同居や子供が増えたといった家族構成の変化や、転勤や退職なども住み替えや買い替えを決めた人に多い理由です。
いざ住み替えたいと思ったあなたに立ちはだかるのは、今住んでいる家の住宅ローンの残高。
住宅の買い替え(住み替え)を希望する場合、住宅ローンの残債の有無で先の見通しは随分違ってきます。
残債がない場合は問題ありませんが、そうでない場合はどのようにすればよいのでしょうか?
ここでは「住宅ローンが残っている場合に家を売ることはできるのか」をテーマに、その対処法をご紹介していきます。
Contents
1.住宅ローンが残っていても家は売れます

ローンが残っている家を売るには、ローンが完済されていることが大前提です。
なぜなら、ローンをするときに金融機関が抵当権という権利を登記しているからです。
要は金融機関が「ローンを払えなくなったら、住宅を取り上げて処分しますよ」という権利です。
家を売却する際はその抵当権が抹消されていることが必要なので、ローンの完済は必須です。
「じゃあ、やっぱり住宅の買い替えなんてできないじゃない」と思うのは早いです。
ローンの残高は、売主に引き渡すまでに完済していれば構わないんです。つまり、今住んでいる家の売却代金でローンが完済できれば大丈夫です。
2.住宅ローンを完済する方法
住宅の買い替えを目的にローンを完済(繰上げ返済)するには、下記の3つの方法があります。
- 手持ちのお金で一括返済する
- 自宅の売却代金で一括返済する
- 自宅の売却代金に手持ちのお金を加えて一括返済する
手持ちのお金に余裕がある場合や自宅が希望売却価格で売れた場合には、この3つのいずれかで残債をゼロにすることが出来ます。
3.買い替えの「売却」と「購入」のタイミング

買い替えの「売却」と「購入」のタイミングは主に3つのパターンに分類することができます。
それぞれメリット・デメリットがありますし、資金の都合でその方法を選択できない場合もあります。
売り先行型
先に自宅の売却を確定させるまたは、売却の目処がたってから購入物件を探すパターンです。
売却が決まってから新居探しをすれば、予算が決まっているので、無理なく物件を選べるので、リスクが少ないので精神的には楽なパターンです。
売却先が決まったら家を空け渡さなくてはいけませんので、購入物件が決まるまで仮住まいするための費用や引っ越し費用が必要になることになります。
その分のコストをあらかじめ予算に組み込んでおく必要があります。
売買同時進行型
売却と購入を同時に進めてゆくパターンです。
売却の決済と購入の決済のタイミングを合わせる必要がありますので、売却と購入の仲介を別々の不動産業者に任せるよりも、同じ業者に任せたほうがトラブルを回避することが出来るでしょう。
ローンを完済する方法としては、「売却代金で一括返済する」か「売却代金に手持ちのお金を加えて一括返済する」になります。
先に買いたい物件が見つかったとしても、通常、自宅の売却目処がたっていなければ、売買契約を結ぶことは出来ません。
ただし「買い替え特約」をつけることで、売主と売買契約を結べる可能性があります。
「買い替え特約」とは「買い替え停止条件」とも呼ばれ、一定の期間内に希望価格で自宅が売却出来なかった場合は、売主との売買契約をなかったことにする(白紙撤回)という特約です。
買主にとっては有難い特約ですが、売主にとってはメリットがありませんから買い替え特約を結ぶこと自体が難しいものではあります。
買い先行型
自宅売却の前に次の住まいを購入してしまうパターンです。
売却が決まる前に新居を契約する場合は、売却価格が思っていたより下がり、新たな資金繰りが必要になるリスクがあります。
購入資金が手元にある場合は問題ありませんが、手元に資金がない場合は住宅ローンを新たに申請する必要があります。
現在のローンの残債額にもよりますが、新たに融資を受けることは難しいでしょう。
たとえ融資を受けられたとしても、家が売却出来るまでは二重ローンとなり月々の返済金額が膨らみます。それは相当なリスクといってよいでしょう。
不動産業者によっては一定期間買い手が見つからない場合に、業者が売却価格の一定率で買い取ってくれる「売却保証」や「下取り保証」を行ってくれます。
4.売却価格がローン残債を下回っている場合は買い替えローンを利用する
売却価格がローン残債を下回ってしまった場合は、住み替えや買い替えは少し難しくなります。
預貯金などで不足分を補てんできればベターですが、資金がない場合は買い替えローンを利用して借り入れすることになります。
買い替えローンとは住み替えローンとも呼ばれ、次の住まいを購入するにあたり、その担保評価額より多い融資(一般に1.5~2倍)が受けられるローンです。
つまり新居購入ローンに、今の住宅ローンの残債を上乗せするというものです。
金融機関にとってもリスクが高めになりますので、通常の住宅ローンより審査基準は厳しくなります。
それに買い替えローンは売却と購入の決済を同時に行うので、両方が同時期に決まる必要があります。
売却に時間がかかったりすると使えないのでタイミングが難しく、不動産業者と金融機関との事前の調整が必要です。
また、買い替えローンが使えたとしても、次に住み始める住宅は確実に(不動産価格)<(ローン残債)のオーバーローン状態からスタートしますので、買い替えローンを使うかどうかは慎重に判断しましょう。
それにやっぱり一番大事なのは、「今の住居を高値で売ること」です。不動産業者をどこにするかよって、実際の売却価格に大きな差が出るケースもあるようです。
売却額がローン残債を下回っても、少しでもその差が縮まれば、住み替えに手が届くかもしれません。
もしあなたが一社だけで相談しているなら、今すぐ他の業者にも相談してみましょう。
ただ、ご自身で複数社に問い合わせるのはかなり手間がかかります。そこで、不動産会社を選定する前に、無料で利用できる一括査定サイトを一度利用してみてはいかがでしょうか?
利用した方の中には、査定額に500万円近い差が出た方もいるそうなので、どこにお願いするか悩んだ時におすすめです。
買い替えローン(住み替えローン)のメリットとデメリット
メリット
- 住宅ローンが残っていても買い替えが出来きます
- 融資期間が延びることで月々の返済額が減る場合があります
デメリット
- 融資期間が延びることで完済年齢も高くなります
- 老後の資金が不足することもあり得ます
- 売却と購入の決済を同時に行うので調整が必要
5.買い替えにかかる諸費用
前回自宅を購入した際にかかった、諸費用について思い出してみましょう。
売買費用 | 不動産売買契約書印紙税 |
仲介手数料 | |
登記費用 | 登録免許税 |
司法書士報酬 | |
ローン費用 | ローン契約書印紙税 |
ローン保証料 | |
ローン事務手数料 | |
繰り上げ返済手数料 | |
団体信用生命保険料 | |
火災保険料・地震保険料 | |
その他費用 | 引っ越し費用 |
不動産取得税 | |
譲渡所得税 |
物件購入時に新たに住宅ローンを組む場合や、買い替えローンを利用する場合はローン費用も必要です。
買い替えをする場合は、売買費用、登記費用が単純に2倍ということではありませんが、売却用、購入用と別々に費用が発生します。
また売り先行型であれば、仮住まい費用と2回の引越し費用が加わるわけです。
繰り上げ返済時にローン保証料、売却時に税金と管理費等の精算金が戻ってくる場合もありますが、
例え自宅が希望価格で売れたケースだとしても、買い替えには相当の費用がかかることは確かです。
不動産売買契約書印紙税
契約金額(売却価格)により5000円~30,000円程度を想定しておきましょう。
仲介手数料
不動産業者に支払う手数料です。法律上の上限は(売却価格)×3%+60,000円(税抜:売却価格400万円以上の場合)になります。
あくまで上限なので、業者によっては手数料を減額している場合もありますし、これ以上の金額を請求する業者には注意しましょう。
司法書士報酬
売却時の移転登記は一般的には買主側が負担します。売主側はローン完済による抵当権抹消登録費用(1000円程度)と登記を行う司法書士への報酬(10,000円程度)を見込んでおきます。
繰上げ返済手数料
ローン残債を一括で返済する際に発生する金融機関への手数料です。
金融機関やローン契約の種類により、無料、一定金額や残債×一定率の金額などがありますので確認が必要です。
譲渡所得税
不動産を売却したことで発生した利益には、譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。
購入価格ではなく築年数が進み価値が落ちた分、つまり減価償却を行った後の現在の価値よりも高く売れた場合は売却益になります。
譲渡所得税の税率は20%または39%なので、売却益が出た場合は、かなりの金額が請求されます。
ただし、一定の場合には、3,000万円まで売却益から控除できるので、実際に譲渡所得税が発生するケースはあまり多くないようです。
もし譲渡所得税が発生しても、実際の支払いは買い替えた翌年の確定申告になりますから、売却する時点であわてて準備する必要はありません。
6.買い替えで受けられる特例

費用のことばかりで頭がいっぱいになってしまったかもしれませんが、
ここでは買い替え時の所得税の優遇措置についてご説明します。
居住用財産の買い替えの特例
自宅を売却して、新しく居住用の住宅を購入した場合、一定の条件を満たせば譲渡による収入のうち、
購入にあてられたと考えられる部分については、譲渡益が繰り延べられます。
売却資産の主な条件
- 居住用の住宅であること
- 居住期間が10年以上であること
- 所有期間が10年超であること
- 配偶者、直系家族、生計を一にする親族、内縁関係の夫または妻への譲渡ではないこと
- 譲渡価格が1億円以下であること
購入資産の主な条件
- 居住用に供する部分の床面積が50㎡以上であること
- 敷地面積が500㎡以下であること
7.住宅ローンが残っている場合に家を売ることはできるのか?のまとめ
住宅ローンが残っている場合でも家を売る方法はいくつかあり、買い替えをすることができることもわかりました。
しかし、自己資金の少ない中での買い替えはどうしてもリスクが高くなってしまうので、、信頼できる不動産業者の選定が大事になります。
住み替えや買い替えの物件に慣れていて的確なアドバイスができる業者は、あなたの力になってくれます。
最初から一つの業者に絞らずに、簡単な入力で複数の業者と連絡が取れる一括査定を是非使ってみてください。きっと、あなたの条件にぴったりの業者が見つかりますよ。
いくらの差が出る?不動産会社6社の一括査定の結果
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